映画監督
「ジャン=リュック・ゴダール」
(Jean-Luc Godard)


密告屋は密告し、殺し屋は人を殺し、恋人は恋をする。


映画監督 ジャン=リュック・ゴダール 映画 勝手にしやがれ



 「分断と再構築」。ゴダールは、首尾一貫「映画には何が可能か」というメタ映画の追求をテーマとした。



 映画はハリウッドものしか見ないから、という人でも、ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)の名前くらいは聞いたことがあるだろう。彼の名は、映画評や映画史を語るとき、実に頻繁に引き合いに出される。

それほどまでに彼が映画の世界へ及ぼした影響は大きい。

 ゴダールはフランスの映画監督だ。1930年12月3日、パリに生まれる。ソロボンヌ大学中退。そして、彼を語るとき必ず付けられる形容が『ヌーヴェルバーグの旗手』である。

 ヌーヴェルヴァーグとは1950年代の末から1960年代にかけて起こったフランスにおける映画運動のことだ。一般に、ロケ撮影中心、同時録音、即興演出などの手法的な共通性のある一連の作家・作品と、モンパルナス界隈で集っていたシネ・フィル(映画通、映画狂)達を合わせてヌーヴェルヴァーグと総称する。

 監督デビュー前のゴダールもシネ・フィルのひとりであり、映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ」に批評文を投稿していた。彼らは、「全ての映画(的な要素)は既に撮られてしまっており、自分たちが為し得るのは過去の映画(的な要素)の引用と反復しかない」という明確な自意識と反省意識を持って映画を批評し、自ら作成するに至った。

 ゴダールは1959年、『勝手にしやがれ』で長編映画デビューを果たした。主演はジャン=ポール・ベルモンドとジーン・セバーグ。ヌーヴェルヴァーグの記念碑的作品である。

 このタイトルに、あっ!とお気づきだろうか?
 そう、1977年5月にリリースされた、ジュリーこと沢田研二のヒット曲と同タイトルである。
 これはもちろん映画『勝手にしやがれ』からの借用なのだ。

 ゴダール作品の特徴は、物語のスムーズな語りをも疎外するほどの大胆な編集術(ジャンプカット)とそこから醸し出される独自性である。

 しかし、映画の技術は近年非常なスピードで変化し、進化した。スピルバーグやウォシャウスキー兄弟(「マトリックス」)の映像を日常的に受け取っている私たちがそういった映画とゴダール作品を同列に鑑賞したとしたら、正直物足りないと感じてしまうだろう。
 あるいは、ハリウッド映画では当然とされる「ストーリーを説明する為の映像」という観念を持たない為、難解と感じるかもしれない。

 しかしながらこの映画は、「密告屋は密告し、殺し屋は人を殺し、恋人は恋をする」といった独特の台詞回しと、何よりも登場人物がすばらしいのだ。主人公ミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)は、洗いざらしのストライプのシャツに、ソフト帽とグラサンできめて、斜に構えて煙草を燻らす…。ただならぬ色気を漂わせている。

 ジュリーのあのスタイルはここからきていたのか!
 憧れ、真似してみる男も少なくないのではないだろうか。 


 ロジックなものがお好みなら1989年〜1998年に発表された『映画史』を。最新作は、2004年『Notre Musique』(私たちの音楽)である。



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