映画:忘れられない一瞬がある

「なんちゃって家族」
WE'RE THE MILLERS



笑って泣いてハッピーになれるお下品コメディ




 本作は全米で批評家から酷評されたR指定映画でありながら、観客の絶大な支持で口コミが広がり、興行収入1億5000万ドル(約156億円)以上の大ヒットを達成した異例の作品。下ネタと下品なギャグが満載なので、一緒に観る相手は選ばないといけないが、テンポ良く進んでいくストーリーは観客を飽きさせない構成になっていて、ハラハラドキドキの連続。脚本はコメディ畑の脚本家がチームで書いたという事だが、全ての出来事が見事に回収されるストーリーは本当に良く出来ている。
 独身でマリファナの売人をしているデヴィッド(ジェイソン・サダイキス)は、路上で揉め事を起こしていた家出娘を助けようとして、ギャングたちに商品のマリファナとお金を奪われてしまう。ボスのブラッドから「穴埋めとしてメキシコでブツを受け取ってこい。そうすれば貸し借りなしで、さらに10万ドルやろう」と命令され、承諾するしかないデヴィッド。メキシコ国境を越える方法について悩んだデヴィッドは、偽装家族を作ってキャンピングカーで国境を越えるという方法を思いつく。娘役には、揉め事を起こしていた家出娘のケイシー(エマ・ロバーツ)をスカウト。同じアパートに住む童貞のおバカ高校生ケニー(ウィル・ポールター)、元ストリッパーのローズ(ジェニファー・アニストン)らと即席のニセ家族を結成する。
 空港を降り立ち、用意されたキャンピングカーに乗ってメキシコに入国した彼らは、麻薬カルテルのアジトに行き、ブラッドの指示通り大麻を受け取る。しかし、「少量のブツ」と聞いていたのに受け取ったのは約2トンもある大量の大麻で、キャンピングカーの中は大麻で埋め尽くされてしまう。「家族旅行のフリをすれば車を調べられないはず」と検問所に向かうデヴィッドたちだが、自然な家族を演じるはずが緊張で挙動不審に。それを見た国境の検査官から、車を調べるから下車しろと命じられ絶体絶命のピンチ!しかも、デヴィッドはブラッドに騙されて麻薬王パブロの大麻を盗んだことになっており、パブロは手下を連れて追ってくる。捕まったら殺されることは間違いないし、これまた大ピンチ!
 これらのピンチを力技でくぐり抜けたニセ家族だが、2トンの大麻を積んで急な山道を走っていたため、キャンピングカーがエンストして立ち往生。偶然通りかかったフィッツジェラルド一家に修理工場まで連れて行ってもらうが、修理工場は閉まっていて、開くのは明日の朝だという。仕方なく、やたらフレンドリーなフィッツジェラルド一家と野宿することに。ところが、このフィッツジェラルド一家の主人ドンは、DEA(麻薬取締局)の元捜査官でまたまた大ピンチ!
 デヴィッドとローズがフィッツジェラルド夫妻を警戒する一方、ケニーはフィッツジェラルド家のメリッサに一目惚れ。2人は意気投合し、いい雰囲気になるのだが、童貞でキスの経験もないケニーは、純情すぎて彼女にキスすることができない。翌日、フィッツジェラルド家と別れて一安心し、自動車修理工場にやってきたニセ家族だったが、そこには追ってきた麻薬王パブロが待ち構えていた。パブロの話からブラッドに騙されていた事に気づいたデヴィッドは電話でブラッドに抗議するが報酬を50万ドルに上げると言われ、そのまま大麻の密輸を続行する。ところがケニーがタランチュラにキ○タマを噛まれ、治療のため病院で足止めを食ってしまう。大麻の配達期限が迫っているため焦ったデヴィッドが、退院直後のケニーが乗る車イスを押して全力ダッシュしたため、ケニーは車イスから放り出されてしまう。ローズはデヴィッドを非難するが、デヴィッドはもらえる報酬額について口をすべらせ、3人からの信頼を失ってしまう。責められたデヴィッドは1人でキャンピングカーに乗り込み、仕事を終わらせようと車を走らせる。しかし、本当の家族のように思い始めていた3人を置き去りにしたことを後悔したデヴィッドはすぐに引き返し、改心した事をアピール。何とか仲直りして再出発しようとしたところ、3度登場するフィッツジェラルド一家。メリッサに誤解されていたケニーは、必死に弁明しようとするあまり自分たちがニセ家族であること、メキシコで仕入れた大麻を運んでいることを話してしまう。緊張感が走る2つの家族の前に、麻薬王パブロが登場。果たしてニセ家族の運命は…。
 登場人物は品位と倫理観に欠けるキャラばかりだが、基本的に善人で憎めないところが魅力になっている。ジェニファー・アニストン(ジェイソン・サダイキスとは「モンスター上司」でも共演)の下品だけど心の優しいストリッパー役はさすがの演技力だし、ケイシー役のエマ・ロバーツ(ジュリア・ロバーツの姪)や、「リトル・ランボーズ」「ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島」の演技で注目されたケニー役のウィル・ポールターと、これから要注目の若手も出演している。個人的に一番強烈だったキャラはスコッティ・Pだが…。
 大きな事件が起こるというよりも、細かいネタがいろいろ仕込まれ、それぞれを回収しながら物語が進んでいく。その中で〝家族〟というものと疎遠だった4人に少しずつ絆が生まれていく過程が描かれ、お下劣なギャグ満載なのにホロリと温かい気持ちになれる。エンドロール前のNG集も必見だ。日本語の字幕も工夫されているので、アメリカのコメディは笑うポイントが分からないと敬遠している人にもおススメ。思いっきり笑って気分転換したい時にピッタリの作品である。

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